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002.怒り

怒り/日本/2016/李相日

 

総評

胃が暴れる。

 

あらすじ

とある夫婦の殺人事件。

いまだ犯人は見つからず、手掛かりも犯人の整形手術後のモンタージュ写真のみ。

大々的なマスコミを利用したモンタージュ写真公開によって沖縄、新宿、千葉でそれぞれ身元不明の男たちが周りの人々に疑われ始める。

彼らはどこから来たのか、本当に信じられる人間なのか。

事件現場に残された「怒」の文字。

皆、何かを抱えている。

 

感想

とてつもなく趣味が合う友達がいまして、その子から見てと言われてたうちの一本。

根底に信じられない気持ちがある人間たちの信じあう姿は大変美しいですね。好きです。

ただ、苦しいからもう一回見る前には滝行をして精神を鍛えなきゃならないと思った。

 

特に千葉県民たちのエピソードがいいです。

偽名出身不明田代君と都会から帰ってきた少し頭の弱い愛ちゃんが少しずつ信じあうことで手に入らなかった家族という幸せを作っていく。

でも、愛ちゃんパパはやはり身元不明の男なんか心配。わかる。私も自分の娘がどこの馬の骨とも知れないやつと「結婚すゆ♥」とか言い出したら寝込む。さらに凶悪犯のモンタージュに似てると来た。

娘だからこそ心配して、娘を愛してくれる人を疑って不幸に進んでいくスパイラル。

愛ちゃんは田代君が話してくれた「真実」を信じようとするも結局、田代君にそっくりなモンタージュ写真に耐え切れずに警察に連絡する。愛ちゃんパパでもなく、親子の仲介をしていたおばさんでもなく、愛ちゃん自ら田代君を犯人だと疑うところに大変胃にパンチ食らう。

そして、捜査の結果、田代君は犯人でもなんでもなかったことが判明するシーンは宮崎あおいの慟哭の顔とへたり込む渡辺謙の演技がすごすぎて、「このシーンで映画終わるんだなぁ」と錯覚した。そのあと、30分くらいまだ続きがあったのだけどレコーダーがバグったのかと思って死ぬほど焦った。

音がなくとも強い強い慟哭って耳に届くんですね。

 

超絶どうでもいいけど、私の家は死ぬほど真面目家族である。

父も母も堅物であり、その二人のもとに生まれた私はハイブリット真面目堅物純情野郎。弟が若干ヤンキーだが交通ルール絶対守るし、遅刻とか絶対しない真面目ガイ。

そのため、映画の性描写シーンを皆で見ている時の沈黙ほど重いものはない。

そしてなぜこの話をしているのかというと、邦画の例外にもれず今作『怒り』も性描写シーンがめちゃくちゃ多い。ゲイの発展場のシーンがあるんですけども、不特定多数の人間がいつでも同意さえあれば性行為をする場というのは、私一家にとっては雪山に住むイエティ、頭上から降り注ぐキャトルミューティレーションへと誘う光レベルの光景です。

めちゃくちゃおやつの時間が気まずかった。

 

 今回の教訓は

『今後邦画を見る際は、まずどれくらいの頻度、感覚、長さで性描写が入るのかリサーチしてから』

です。よろしくお願いいたします。